商標法3条1項3号

 商標法3条1項3号は、商標登録を受けることができないものとして、「その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状(包装の形状を含む。第二十六条第一項第二号及び第三号において同じ。)、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」を規定しています。
 ここでは、商標法3条1項3号が争点となった審決取消訴訟の判決を紹介します(※ 判決は適宜追加更新していきます。)。

<参考>商標審査基準(第3条第1項第3号)

 

● 知財高判平30・1・15 平成29年(行ケ)10155 4部 拒絶審決→請求棄却

平成29年(行ケ)10155

【判決要旨】
・本願商標の立体的形状は、先端を円錐状に尖らせ、頭部の先端を円盤状に平らにした長い棒状である一般的な杭の形状と共通し、また、本願商標の各特徴の形状は、機能又は美観に資することを目的として採用された形状であるから、本願商標に係る立体的形状は、杭の形状として、機能又は美観に資することを目的として採用されたものであり、また、需要者において、機能又は美観に資することを目的とする形状と予測し得る範囲のものである。
・よって、本願商標は、商品等の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみから成る商標として、商標法3条1項3号に該当する。

 

● 知財高判平29・9・27 平成28年(行ケ)10266 1部 拒絶審決→請求棄却

平成28年(行ケ)10266

【判決要旨】
・本願商標の形状と一般的なカードシューの形状とは、トランプ繰り出し装置という機能を効果的に発揮させるために通常採用されている形状である点において共通し、そして、本願商標の立体的形状は、全体として曲線を輪郭として用いるなど、一定の特徴的形態を有するが、通常採用されている形状の範囲を超えるものではなく、また、本願の指定商品のような電子的な機能を有する商品には、その機能を発揮させるために、ランプやボタン、スイッチ等を搭載することが通例であるところ、本願商標の立体的形状は、客観的に見れば、機能又は美感に資することを目的として採用されたものであり、また、需要者において、機能又は美感に資することを目的とした形状であると予測し得る範囲内のものである。
・よって、本願商標の立体的形状は、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として、商標法3条1項3号に該当する。

 

● 知財高判平29・6・28 平成28年(行ケ)10252 3部 一部無効成立審決→請求棄却

平成28年(行ケ)10252

【判決要旨】
・本件商標の登録査定時において、「AKA」の文字は、「関節運動学的アプローチ(arthrokinematic approach)」の略であって、関節の機能の治療を行う場合がある整形外科等の役務との関係においては、「関節運動学を基礎にして開発された治療法、治療技術」を表すものとして理解、認識されていたと認められるところ、本件商標は、その指定役務中、第44類「医業、医療情報の提供」との関係においては、単にその役務の質(内容)を表示するにすぎない。
・よって、本件商標は、上記指定役務については、法3条1項3号に該当する。
・しかし、本件指定役務中、その余の指定役務、「健康診断、歯科医業、調剤、あん摩・マッサージ及び指圧、整体、カイロプラクティック、きゅう、柔道整復、はり」との関係においては、本件商標が各役務の質(内容)を表すものであるとは認められない。
・よって、本件商標は、その余の指定役務については、3条1項3号に該当しない。
・類似群コードを定める「類似商品・役務審査基準」は、特許庁における商標登録出願の審査事務等の便宜と統一のために作られた内規にすぎず、法規としての効力を有するものではないから、同一の類似群コードに属するとの形式的事実のみから、直ちに、本件商標が「医業、医療情報の提供」と同様に「健康診断、歯科医業、調剤」の各役務との関係においても、質表示に当たるとか、自他役務識別力がないとの結論を導くことはできず、かかる結論を導くには、本件商標が上記の各役務との関係で質表示に当たることその他自他役務識別力がないことを認めるに足りる具体的事由の主張立証が必要となるというべきである。

 

● 知財高判平28・10・12 平成28年(行ケ)10109 4部 拒絶審決→請求棄却

平成28年(行ケ)10109

【判決要旨】
・本願商標は、需要者又は取引者に、「BAUM」の部分は、バウムクーヘンを認識させ、「HOKOTA」の部分は、鉾田市を認識させ、本願商標が指定商品に使用された場合、本願商標は、鉾田市を産地又は販売地とするバウムクーヘンという意味を有するものとして、需要者又は取引者に認識される。
・本願商標は、「HOKOTABAUM」という欧文字を太字で表し、全体的に若干丸みを帯びるようにデザイン化させているが、特殊なものとはいえず、「HOKOTABAUM」の欧文字を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものといえる。
・よって、本願商標は、商品の産地、販売地を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として、商標法3条1項3号に該当する。

 

● 知財高判平28・4・14 平成27年(行ケ)10232 3部 拒絶審決→請求棄却

平成27年(行ケ)10232

【判決要旨】
・本願商標は、指定商品に使用されたときは、「メロンの果肉や果汁が残さず用いられたアイスクリームソーダ」や「メロンの外皮を容器としてそのまま用いたアイスクリームソーダ」であるという、指定商品の品質を表示するものとして、取引者、需要者によって一般に認識される。
・本願商標は、「メロンまるごとクリームソーダ」の文字を肉太でやや縦長のポップ調の書体で表しているが、この書体自体は既存のものであるし、文字の太さや縦長の形状であることについても、それ自体はありふれたものの域を出るものではないから、「メロンまるごとクリームソーダ」の文字を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものである。
・よって、本願商標は、商標法3条1項3号に該当する。

 

● 知財高判平28・3・31 平成27年(行ケ)10217 1部 拒絶審決→請求棄却

平成27年(行ケ)10217

【判決要旨】
・小さな鯛を意味する「小鯛」と、魚の一般的調理法を示す語である「ささ漬」を組み合わせた「小鯛ささ漬」は、「小さな鯛を三枚におろし、酢・塩でしめ、笹の葉と一緒に漬けたもの」の意味合いを有する複合語として理解され、加えて、「小鯛ささ漬」と同一又は実質的に同一の語が、各地方で生産、販売される上記調理法によって調理された小鯛を示す名称として一般的に使用されていることから、本願商標を、指定商品に使用する場合には、これに接する取引者・需要者は、原材料、生産方法を記述したものとして理解、認識する。
・よって、本願商標は、その指定商品の原材料、生産方法を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、法3条1項3号に該当する。

 

● 知財高判平27・11・30 平成27年(行ケ)10152 3部 拒絶審決→請求棄却

平成27年(行ケ)10152

【判決要旨】
・「肉ソムリエ」の語は、本件審決日当時、取引者、需要者によって、「肉(食肉)に関する専門的知識を有する者」を意味する語として、一般に認識されるものであったところ、本願商標は、本件審決日当時、指定役務に使用されたときは、指定役務に係る資格が、「肉(食肉)に関する専門的知識を有する者」に関するものであるという指定役務の質(内容)を表示するものとして、取引者、需要者によって一般に認識される。
・本願商標は、標準文字で構成されているから、「肉ソムリエ」の文字を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものである。
・よって、本願商標は、商標法3条1項3号に該当する。

 

● 知財高判平27・10・21 平成27年(行ケ)10107 3部 拒絶審決→請求棄却

平成27年(行ケ)10107

【判決要旨】
・本件審決日当時、本願商標は、「複数のビタミンを含まない」との意味合いを一般に想起させるところ、その指定商品のうち「複数のビタミンを含まないサプリメント」に使用されたときは、商品の内容(品質)を表示するものとして、取引者、需要者によって一般に認識される。
・本願商標は、標準文字で構成されているから、「ノンマルチビタミン」の文字を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものである。
・よって、本願商標は、その指定商品のうち「複数のビタミンを含まないサプリメント」に使用されたときは、商標法3条1項3号に該当する。

 

● 知財高判平27・9・17 平成27年(行ケ)10085 4部 拒絶審決→請求棄却

平成27年(行ケ)10085

【判決要旨】
・本願商標を構成する「雪中熟成」の語は、本件審決当時、「雪の中で熟成すること」等の意味合いを有する語として、本件指定商品の取引者、需要者によって一般に認識されるところ、本件審決当時、本願商標は、本件指定商品に使用されたときは、「雪の中で熟成された商品」といった商品の品質又は生産の方法を表示するものとして、取引者、需要者によって一般に認識される。
・本願商標は、「雪中熟成」の文字を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものである。
・よって、本願商標は、商標法3条1項3号に該当する。

 

● 知財高判平27・9・16 平成27年(行ケ)10061 3部 拒絶審決→請求棄却

平成27年(行ケ)10061

【判決要旨】
・本願商標は、「死者を棺に納める資格ないし役割をもった者」との意味合いを一般に想起させ、葬儀業者、遺族等によって納棺の際に執り行われる儀式を専業的に提供する者を表す語として認識されるところ、指定役務に使用されたときは、その役務が「死者を棺に納める資格ないし役割をもった者」によって提供されるという役務の質を表示するものとして、取引者、需要者である葬儀業者、遺族等によって一般に認識される。
・本願商標は、標準文字で構成されているから、「納棺士」の文字を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものである。
・よって、本願商標は、商標法3条1項3号に該当する。

 

● 知財高判平27・9・16 平成27年(行ケ)10062 3部 拒絶審決→請求棄却

平成27年(行ケ)10062

【判決要旨】
・本願商標は、「納棺する前に死体を清める資格ないし役割をもった者」との意味合いを一般に想起させ、葬儀業者、遺族等によって納棺する前に死者の身体を洗い清めるなどの儀式を専業的に提供する者を表す語として認識されるところ、指定役務に使用されたときは、その役務が「納棺する前に死体を清める資格ないし役割をもった者」によって提供されるという役務の質を表示するものとして、取引者、需要者である葬儀業者、遺族等によって一般に認識される。
・本願商標は、標準文字で構成されているから、「湯灌士」の文字を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものである。
・よって、本願商標は、商標法3条1項3号に該当する。