商標法3条1項6号

 商標法3条1項6号は、商標登録を受けることができないものとして、「3条1項1号~5号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を規定しています。
 ここでは、商標法3条1項6号が争点となった審決取消訴訟の判決を紹介します(※ 判決は適宜追加更新していきます。)。

<参考>商標審査基準(第3条第1項第6号)

 

● 知財高判平29・5・17 平成28年(行ケ)10191 1部 無効不成立審決→請求棄却

平成28年(行ケ)10191

【判決要旨】
・音楽という文字とマンションという文字をそれぞれ分離してみれば、前者が「音による芸術」を意味し、後者が「中高層の集合住宅」を意味するところ、両者を一体としてみた場合には、その文字に即応して、音楽に何らかの関連を有する集合住宅という程度の極めて抽象的な観念が生じるものの、これには、音楽が聴取できる集合住宅、音楽が演奏できる集合住宅、音楽家や音楽愛好家たちが居住する集合住宅などの様々な意味合いが含まれるから、特定の観念を生じさせるものではない。
・「音楽マンション」という文字は、これが使用されている実情等を踏まえても、特定の観念を生じさせるものではない。
・そうすると、「音楽マンション」という文字は、需要者はこれを造語として理解するというのが自然であり、本件商標の指定役務において、特定の役務を示すものではないから、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができないとはいえない。
・よって、本件商標は,商標法3条1項6号に該当しない。

 

● 知財高判平29・2・23 平成28年(行ケ)10178 2部 拒絶審決→請求棄却

平成28年(行ケ)10178

【判決要旨】
・本願商標は、「NYLON」を、「Futura」と称する一般に知られている書体により、ありふれた大きさと配置で横書きしたにとどまるものであるから、これに接する需要者をして、外観上、特徴あるものとして強く印象付けられるとはいえず、「NYLON」を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認識されるにとどまる。
・「NYLON」は、合成繊維の一種であるナイロンを大文字で表したものであるところ、本願商標を指定役務に使用した場合、これに接する需要者は、指定役務の小売の業務における取扱商品である被服、履物、かばん類及び袋物の原材料(素材)として相当程度利用されているナイロンを表したものと認識するにとどまり、役務の出所を表示するものと認識するとはいえない。
・よって、本願商標は、自他役務の識別力を欠くから、商標法3条1項6号に該当する。