商標法4条1項16号

 商標法4条1項16号は、商標登録を受けることができないものとして、「商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標」を規定しています。
 ここでは、商標法4条1項16号が争点となった審決取消訴訟の判決を紹介します(※ 判決は適宜追加更新していきます。)。

<参考>商標審査基準(第4条第1項第16号)

 

● 知財高判平30・3・22 平成29年(行ケ)10170 3部 無効不成立審決→審決取消

平成29年(行ケ)10170

【判決要旨】
・本件商品の取引者及び需要者は、本件商標の登録査定時において、「PPF」の語を、車の保護フィルムである本件商品一般を指す言葉「ペイントプロテクションフィルム」の略称と認識していたと認められることから、「PPF」の語は本件商品の普通名称に当たる。
・そうすると、本件商標を本件商品の代表的な素材である「熱可塑性ポリウレタンフィルム」全般に使用すると、他の用途に用いるための当該フィルムについても、自動車の車体表面を保護するためのものであると誤って認識される可能性がある。また、本件商品はプラスチック製品の一種であるから、本件商標を「プラスティック基礎製品」に使用すると、自動車の車体表面の保護以外の用途や、フィルム以外の形状を有するものに用いるための当該基礎製品についても、自動車の車体表面を保護するためのフィルム全般に関連する製品であると誤って認識される可能性がある。
・よって、本件商標は、本件指定商品のうち、「熱可塑性ポリウレタンフィルム」及び「プラスティック基礎製品」との関係で、本件商品以外の商品について使用される場合には、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標であるから、商標法4条1項16号に該当する。

 

● 知財高判平29・6・28 平成28年(行ケ)10252 3部 一部無効成立審決→請求棄却

平成28年(行ケ)10252

【判決要旨】
・本件商標の登録査定時において、「AKA」の文字は、「関節運動学的アプローチ(arthrokinematic approach)」の略であって、関節の機能の治療を行う場合がある整形外科等の役務との関係においては、「関節運動学を基礎にして開発された治療法、治療技術」を表すものとして理解、認識されていたと認められるところ、本件商標は、その指定役務中、第44類「医業、医療情報の提供」との関係においては、単にその役務の質(内容)を表示するにすぎず、そして、上記以外の治療法によるものについて使用をするときは、役務の質(内容)について誤認を生じさせるおそれがある。
・よって、本件商標は、上記指定役務については、法4条1項16号に該当する。
・しかし、本件指定役務中、その余の指定役務、「健康診断、歯科医業、調剤、あん摩・マッサージ及び指圧、整体、カイロプラクティック、きゅう、柔道整復、はり」との関係においては、役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるということはできない。
・よって、本件商標は、その余の指定役務については、4条1項16号に該当しない。

 

● 知財高判平27・12・25 平成27年(行ケ)10162 3部 拒絶審決→請求棄却

平成27年(行ケ)10162

【判決要旨】
・本願商標の構成から一般に認識される「宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」の商品である「ティアラ」と、指定商品である「イヤリング、ネックレス、ブレスレット、ペンダント、宝石ブローチ、指輪、ピアス」とは、いずれも装飾のために身につける身飾品に属し、取引者、需要者が共通することを併せ考慮すると、「ティアラ」と指定商品とは、互いに関連する商品であるが、別の種類の身飾品であって、「ティアラ」の特性と指定商品が有する特性が異なる。
・よって、本件審決時点において、取引者又は需要者において、本願商標を指定商品に使用した場合に、その商品が「ティアラ」の特性を有する商品であるかのように、「商品の品質の誤認を生ずるおそれ」があるから、本願商標は、商標法4条1項16号に該当する。