商標の審査便覧が改訂されました(特許庁HP)。改訂点は下記の通りです。
(1) 地域未来投資促進法の適用による地域団体商標の商標登録出願に係る主体要件の明確化に係る改訂
(2) 歴史的・文化的・伝統的価値のある標章からなる商標登録出願の取扱い及びそれに関連する改訂
(3) 新しいタイプの商標に係る審査運用の更なる明確化に係る改訂
(4) 商標の使用又は商標の使用の意思を確認するための審査に関する運用に係る改訂
特に、(4)の改訂は、下記の通りであり、実務的に非常に重要な改訂となっています。
<改訂前>
1区分内において、8以上の類似群コードにわたる商品・役務を指定している場合には、商品・役務の指定が広い範囲に及んでいるため、指定商品・指定役務について商標の使用及び使用の意思があることに疑義があるものとして、商標法3条1項柱書により登録を受けることができる商標に該当しない旨の拒絶理由の通知を行い、出願人の業務を通じて、商標の使用又は使用の意思を確認する。
<改訂後>
1区分内において、23以上の類似群コードにわたる商品・役務を指定している場合には、商品・役務の指定が広い範囲に及んでいるため、指定商品・指定役務について商標の使用及び使用の意思があることに疑義があるものとして、商標法3条1項柱書により登録を受けることができる商標に該当しない旨の拒絶理由の通知を行い、出願人の業務を通じて、商標の使用又は使用の意思を確認する。
この改訂が意味するところは、改訂前は、商標法3条1項柱書違反の拒絶理由通知を受けないようにしようとすれば、1区分において類似群コードが7以内に収まるように商品・役務を指定しなければならなかった(8以上の類似群コードにわたる商品・役務を指定する必要がある場合は、拒絶理由通知を受けてから意見書等で、あるいは拒絶理由通知を受ける前に上申書等で、商標の使用又は使用意思に関する証明書類等を提出しなければならなかった)ところを、改訂後は、類似群コードの数が22まで拡大され、要件が大幅に緩和されることになります※。
※ 類似群コードのカウント方法が変更になっていますので、単純比較はできません。
したがって、今後の出願実務においては、使用主義的観点からあくまでも使用の意図が予測される範囲であるべきではありますが、積極的により多くの商品・役務を指定することになろうかと思います。