数値限定の臨界的意義<1>

[作成・更新日:2018.1.10]

 発明を特定するための事項を数値範囲により数量的に規定することを数値限定といい、その数値限定の技術的意義を臨界的意義といいます。
 特許庁作成の特許・実用新案審査基準には、
「主引用発明との相違点がその数値限定のみにあるときは、通常、その請求項に係る発明は進歩性を有していない。実験的に数値範囲を最適化又は好適化することは、通常、当業者の通常の創作能力の発揮といえるからである。
 しかし、請求項に係る発明の引用発明と比較した効果が以下の(i)から(iii)までの全てを満たす場合は、審査官は、そのような数値限定の発明が進歩性を有していると判断する。
(i) その効果が限定された数値の範囲内において奏され、引用発明の示された証拠に開示されていない有利なものであること。
(ii) その効果が引用発明が有する効果とは異質なもの、又は同質であるが際だって優れたものであること(すなわち、有利な効果が顕著性を有していること。)。
(iii) その効果が出願時の技術水準から当業者が予測できたものでないこと。
 なお、有利な効果が顕著性を有しているといえるためには、数値範囲内の全ての部分で顕著性があるといえなければならない。
 また、請求項に係る発明と主引用発明との相違が数値限定の有無のみで、課題が共通する場合は、いわゆる数値限定の臨界的意義として、有利な効果の顕著性が認められるためには、その数値限定の内と外のそれぞれの効果について、量的に顕著な差異がなければならない。他方、両者の相違が数値限定の有無のみで、課題が異なり、有利な効果が異質である場合には、数値限定に臨界的意義があることは求められない。」と規定されており(「第III部 特許要件」「第2章 新規性・進歩性(特許法第29条第1項・第2項)」「第4 節 特定の表現を有する請求項等についての取扱い」「6. 数値限定を用いて発明を特定しようとする記載がある場合」)、数値限定の臨界的意義が認められるハードルは高い規定となっています。下記裁判例をみてもそのとおりであり、数値限定の臨界的意義はなかなか認められないのが実状です。
 とはいえ、数値限定の臨界的意義を十分に立証する証拠(数値限定の内の複数の実施例及び数値限定の外の比較例)が明細書に適切に記載され、これによって特許請求の範囲に記載された発明の数値限定の臨界的意義が十分に裏付けられた特許出願であれば、簡単に拒絶できないのもまた事実です。したがって、数値限定発明の出願において、出願に際しての実施例及び比較例のデータ取りは非常に重要な作業となります。
 なお、このデータ取りに関しては、普段の研究・開発段階から数値範囲の臨界的意義の立証を意識したデータ取りをするように心掛けておけば、そのまま出願用のものとしても活用でき、迅速に出願できるというメリットがありますので、そういった面での社内における技術者に対する知財啓蒙活動は重要です。

 

● 東京高判平2・9・20 平成1年(行ケ)131
「 第6図によって本願発明の製造例4(第8表の鋼板10、11)のものを八〇〇度cで焼鈍後第5図(以上いずれも別紙参照)に示す冷却サイクルを経た場合の冷却サイクル別による硬度比と穴拡げ劣化率の関係を要約した結果を見ると、硬度比三・二以下にすると、穴拡げ劣化率において安定した効果を得られることが認められるから、硬度比三・二以下と特定したことに臨界的意義があるというべきである。」

※ 臨界的意義を認めていわゆる進歩性を肯定したケース

 

● 東京高判平4・11・5 平成4年(行ケ)12 知的財産例集24巻3号980頁、判時1470号137頁
「 化学に関する発明の分野において、特許請求の範囲の数値の限定を加えた場合、数値限定の技術的意義は、そのことによって当該発明の作用効果の顕著性が認められるか否かにより定まるのが通常である。そして、その作用効果の顕著性は、明細書の記載に基づいて判断されるのであるが、本件のように限定された数値範囲内の温度のものが前記認定のような最大限130℃であるものと対比する場合には限定のないものとの対比とは異なり、必ずしもその範囲外の直近のものとの間に急減な作用効果上の変化が見られることは必要でなく、130℃付近の温度との対比において作用効果の顕著性が明示されていれば足りる。また、どのような作用効果を奏するかが明細書に記載されている限り、当業者は明細書の記載から当該発明の奏する作用効果を知ることができるのであるから、限定された数値範囲外のもの(比較例)との間に作用効果上の差異があることは明細書に記載されることが望ましいが、出願人において、他の補充的資料によりこれを証明することが許されないというものではない。
 これを本件について見るに、訂正明細書には、訂正第1発明がその構成、特に反応温度を150~250℃と限定したことにより、活性炭の窒素酸化物の還元活性の向上と触媒活性の長時間持続効果等を奏する旨記載され、さらに実施例中の各表中の具体的記載によりこれが裏付けられていることは前記認定のとおりであり、このような作用効果が前記限定された反応温度外の低い従来技術に属する反応温度のものより窒素酸化物の除去率及び触媒活性の長時間持続効果において優れていること・・・は、訂正前明細書及び実験成績証明書1及び2の記載事項により明らかであるから、訂正第1発明において反応温度を150~250℃と限定したことについての技術的意義はこれを認めるに十分である。」

※ 臨界的意義を認めていわゆる進歩性を肯定したケース

 

● 東京高判平5・12・14 平成4年(行ケ)168
「 数値限定の臨界的意義については、それが明細書に具体的に記載されていなくとも、どのような作用効果を奏するかが明細書に記載されている限り、当業者はその記載から当該発明の奏する作用効果を知ることができるから、限定された数値範囲内のものがその範囲外のものに比して格別に顕著な作用効果を奏することを出願人において他の補助的資料により証明することが許されないというものではない。

 

● 東京高判平10・2・24 平成7年(行ケ)169
「 上記認定の事実によれば、原料糖液のイソマルトース含有量が7.1%の付近を境にしてイソマルトースの収率が急激に変化していることは明らかであり、本願発明における原料糖液中の「7%」というイソマルトース濃度は臨界的数値というべきである。」

※ 臨界的意義を認めていわゆる進歩性を肯定したケース

 

● 東京高判平14・5・21 平成11年(行ケ)434
「 本件考案は、数値限定①及び数値限定②のみを特徴とするものであること、このような場合、本件考案の新規性ないし進歩性が肯定されるために、明細書において、数値限定①あるいは数値限定②の根拠(具体的には、数値限定①あるいは数値限定②を採用することによってのみ得られる顕著な作用効果)が明確に記載されていなければならないと解される

 

● 東京高判平14・11・12 平成13年(行ケ)269
「 前記数値限定においては、その上限であるhの最大値すなわちインク流路の流路抵抗の最小値を見出したことに意義があるというものであるとしても、数値限定「0<h≦0.2(q/A)」は、平成12年8月1日付けの訂正請求書によって訂正されたものであり、訂正前の数値限定は「0<h<0.3(q/A)」であったこと、本件訂正請求書(甲3)の訂正明細書に記載された唯一の実施例を示す図7(本件特許明細書である甲2 におけるものも同じ)においては、インク吐出口の径70μm、インク滴量130pl、メニスカスの最大突出高さ7μmであるところ、これらの数値により 0.2(q/A)を計算すると、6.756μmとなるので、h≦0.2(q/A)の関係を満足しないことなどに照らせば、前記数値限定の上限に臨界的意義があるとすることはできない。」

 

● 東京高判平15・5・30 平成14年(行ケ)119
「 数値限定発明である本件発明の新規性の判断に当たっては、数値限定の技術的意義を考慮し、数値限定に臨界的意義が存することにより当該発明が先行発明に比して格別の優れた作用効果を奏するものであるときは、新規性が肯定されるから、このような観点から、本件発明の数値範囲が臨界的意義を有するものであるか否かを検討する必要があるというべきところ、本件決定は、本件発明の数値範囲の臨界的意義を何ら検討していない」

 

● 東京高判平15・6・19 平成13年(行ケ)424
「 原告が主張の根拠とする本件発明の網材の数値範囲についての臨界的意義についてみても、前記甲第18号証の測定結果においては、本件発明の数値範囲内の網材と数値範囲外の網材を用いた実験が行われていることが認められるものの、本件発明の数値範囲(質量40~250g/m2、引張強度100kgf/mm2以上)については、その限定の根拠を明らかにするデータは示されておらず、その他本件全証拠を検討しても、その臨界的意義を認めるに足りる証拠はない。」

 

● 東京高判平15・6・30 平成13年(行ケ)413
「 本件発明1は、「ペイントまたはペイント基材の全重量に基づき」、銅ピリチオンを「1%から6%」に限定する発明 であり、このような数値限定について、格別の効果があり、その臨界的意義が存在するというためには、実施例で具体的に示されているもの(5.01%)を含む「1%から6%」の範囲の全体が、実施例のものと同様に、かつ、それ以外の範囲のものと比べて格別の優れた作用効果を奏することが必要である。

 

● 東京高判平15・11・18 平成13年(行ケ)438
「 原告らの主張及び本件証拠を検討しても、数値範囲外のものについての記載があるのは、上記のガラス繊維ネット④ (測定結果D)、同⑤(測定結果E)のみである。網材の引張強度のみが範囲外で、その余の要素のすべてが範囲内のもののデータは存在しない。したがって、 少なくとも、網材の引張強度については、臨界的意義あることを証明すべき証拠がないことが明らかである。」

 

● 東京高判平15・12・25 平成14年(行ケ)361
「 本件発明における弾性板の軸方向剛性の数値限定の上限である2200kg/mmは、クランク軸系の共振点を騒音が生じない範囲にずらすという、フレキシブルプレートの本来の機能が発揮される上限値として特定されたものであり、また、下限値である600kg/mmは、クラッチ切れ不良の起こらない下限値として特定されたものであるということができる。すなわち、当該数値範囲は既に公知のフレキシブルプレートが予定された性能を発揮し得る適正な剛性範囲を規定するにすぎないものであり、従来技術に見られないような顕著な特性を発揮するような臨界的意義を持つものではないことは明らかである。」

 

● 東京高判平16・3・10 平成15年(行ケ)312
「 上記数値限定が原告主張のような顕著な作用効果を奏する臨界的意義を有するものであることを認めるに足りる証拠はないから、本願発明1の規定する厚さ比の数値は、当業者が当然に採用することができる範囲であって、格別な技術的意義を有するものということはできない。」

 

● 東京高判平16・4・28 平成13年(行ケ)67
「 発明の要旨に数値の限定を伴う発明において、その数値範囲が先行発明の数値範囲に含まれる場合であっても、その数値限定に格別の技術的意義が認められるとき、すなわち、数値限定に臨界的意義があることにより当該発明が先行発明に比して格別の優れた作用効果を奏するものであるときは、その発明は先行発明に対して新規性を有するが、そうでないときは、新規性を有しないというべきである。しかしながら、審決は、本件発明が 引用発明1に対して新規性を肯定するに当たって、上記一応の相違点、すなわち、本件発明のα、αトレハロースの含有量を「原料の総重量に対して0.1重量 %以上含む」との数値限定の格別の技術的意義(臨界的意義)を検討していないことが、その説示自体から明らかである。発明の奏する作用効果は、明細書の発明の詳細な説明に具体的に記載されるべきものであるから、発明の要旨に数値上の限定を伴う発明が上記の意味において新規性を有するかどうかを判断するに当たっては、発明の詳細な説明の記載事項に基づいて検討するべき」

 

●東京高判平16・9・14 平成15年(行ケ)216
「 本願明細書の記載のとおり、0.5~2.5という数値それ自体は、0と最大濃度に近い3との間のほとんどの部分を占めているものであり、この数値がいかなる根拠によって算出された数値であるのか、その臨界的意義については、本願明細書にも記載されていない。そうすると、この数値に格別の技術的意義があるとはいえないから、「0.5や2.5の値に臨界的な意味があるとも認められず、・・・・0.5と2.5の間という数値限定は当業者が適宜なし得る設計事項の域を出ない」とした審決の判断に誤りはない。」

 

● 知財高判平17・8・30 平成17年(行ケ)10102
「 本願補正明細書(甲2~4)の発明の詳細な説明の記載では、光散乱膜の厚さについて、・・・という記載が認められるにとどまり、光散乱膜の厚さを4μm未満と限定することの具体的理由や、その臨界的意義を明らかにした記載はない。・・・本願補正発明の実施例1~6の光散乱膜の膜厚が2.0μm~3.44μmであるとしても、それらは、2.0μm~3.44μmの膜厚のものにおいて本願補正発明の作用効果を確認できたというにすぎず、膜厚が4μm以上になると本願補正発明の作用効果を奏することができなくなることが確認されたわけではないから、散乱膜の膜圧を4μm未満と限定することの臨界的意義が本件補正明細書には記載されていない。」

 

● 知財高判平17・10・17 平成17年(行ケ)10020
「 本件において、「Hf/Diは0.01以上0.020以下」という数値限定が臨界的意義を有するというためには、上限及び下限の数値を境にして、特性に急激な変化があることが不可欠である。・・・本件明細書の図3をみると、横軸をHf/Di、縦軸を管内熱伝達率として、Hf/Diをグラフ化したものが示されており、Hf/Diの値が下限の0.01では管内熱伝達率が著しく低下していることが分かるが、上限の0.02においては、管内熱伝達率が漸増しているにすぎないのであって、上限の0.02について、数値限定が臨界的意義を有するとはいい難い。その他、本件明細書を検討しても、Hf/Diが0.020以下であることによって、例えば、単重量が著しく減少するなどといった特段の事情を見いだすことができないから、0.020に臨界的意義があると認めるにことはできない。」

 

● 知財高判平17・10・26 平成17年(行ケ)10202
「 引用発明と本願発明は、課題及び効果を同じくし、その数値的範囲が異なるにすぎないから、本願発明に進歩性が認められるためには、少なくとも、本願発明の数値限定に臨界的意義が必要である。

 

● 知財高判平17・11・7 平成17年(行ケ)10047
「 本件明細書(甲48の1、2)の実施例の記載(4頁右欄下から10行目~末行、5頁表1)によれば、「容量1AH当たり0.4cc以上」という値は、各種実施例において、10サイクル後及び10サイクル(終了)後60日保存後の弁の状態の変化がないか少ないものにおける空隙の値の最小値から導き出されていることが認められ、0.4ccという数値に臨界的意義があるものとは認められない。」

 

● 知財高判平18・2・28 平成17年(行ケ)10436
「 補正発明のカバーの硬度が「JIS-C硬度で77~86度の範囲」であることの技術的意義は、硬度が75度未満であると反発性が低下し、90度を超えると打感が鈍く感じられるので、その範囲を避ける点にあり、いわゆる数値限定の臨界的意義は認められない・・・補正発明のカバーとコア表面の「硬度差が2~5度」であることの技術的意義も、硬度差が1度より小さいと反発性が低下して飛距離が低下し、10度よりも大きくなると打感が悪くなるのでその範囲を避けたという点にあるに止まり、いわゆる数値限定の臨界的意義は認められない」

 

● 知財高判平18・3・1 平成17年(行ケ)10503
「 構成Bのうちの「表面粗さは0.4μm以下である」点については、甲3ないし6に記載がなく、また、本件第3発明は、構成Bを備えることによって、急激にコンタクト回数を増やすことができるという格別の作用効果を奏する・・・原告は、本件第3発明は、「電極パッドの厚さ約0.8μm、プローブ針の先端の曲率半径15μm」を前提とするから、これを欠いた「表面粗さ0.4μm以下」との数値限定に特段の意味はなく・・・と主張するが、上記のとおり、本件第3発明は、電極パッドの厚さやプローブ針の先端の曲率半径を特定しなくても、急激にコンタクト回数を増やすことができるという格別の作用効果を奏するから、本件第3発明は、「電極パッドの厚さ約0.8μm、プローブ針の先端の曲率半径15μm」を前提とするものではない。」

※ 臨界的意義を認めていわゆる進歩性を肯定したケース

 

● 知財高判平18・4・25 平成17年(行ケ)10597
「 本願発明1においてz方向への膨張を少なくとも100%と規定したことに関しても、通常100%以上のものが慣用される以上の格別な臨界的意義について本願明細書には何ら明記されていない」

 

● 知財高判平18・6・19 平成17年(行ケ)10792
「 本願明細書には、数値限定の上限及び下限のいずれについても、限定の理由が定性的に述べられているにすぎない。また、本願明細書には、実施例として、レンズ単位同士の角度が58°を成すものが1例だけ開示されているにすぎず(段落【0030】)、上記数値範囲を外れた比較例との対照は何らなされていない。そうすると、本願発明のレンズ単位同士の成す角度についての数値限定は、それによる格別の効果等について明細書の記載の裏付けを欠くものであるから、所望の水平視野角や金型寿命等を勘案して当業者が適宜定め得るものにすぎないというべき」

 

● 知財高判平18・8・31 平成17年(行ケ)10665
「 一般に、実験的に数値範囲を最適化又は好適化することは当業者が通常行うべきことであるから、公知技術に対して数値限定を加えることにより、特許を受けようとする発明が進歩性を有するというためには、当該数値範囲を選択することが当業者に容易であったとはいえないことが必要であり、これを基礎付ける事情として、当該数値限定に臨界的意義があることが明細書に記載され、当該数値限定の技術的意義が明細書上明確にされていなければならないものと解するのが相当である。・・・軟化点が「120℃を超え140℃以内」のポリエステル系樹脂は、トナーの主バインダー樹脂として当業者が適宜選択し得るものであったというべきであり、しかも、本件発明において格別の技術的意義ないし臨界的意義を認めることも困難である」

 

● 知財高判平18・9・12 平成17年(行ケ)10778
「 効果と絶縁性電子注入層の厚さを「0.5~10nm」とすることとの関係については何らの記載はなく、上記厚さの技術的意義及びその数値限定による臨界的意義に関する記載も示唆もない。」

 

● 知財高判平18・9・12 平成17年(行ケ)10782
「 一般に、実験的に数値範囲を最適化又は好適化することは当業者の通常の創作能力の発揮というべきであるから、公知技術に対して数値限定を加えることにより、特許を受けようとする発明が進歩性を有するというためには、当該数値範囲を選択することが当業者に容易であったとはいえないことが必要であり、これを基礎付ける事情として、当該数値限定に臨界的意義があることが明細書に記載され、当該数値限定の技術的意義が明細書上明確にされていなければならないものと解するのが相当である。」

 

● 知財高判平18・9・27 平成18年(行ケ)10132
「(Fe+Mn)含有量がほぼ0.02重量%の点を急勾配のほぼ中間値として急激に変化しているということはできず、本願発明の0.02重量%という値の内外で生じる耐熱劣化性に係る効果について予測できない程の顕著な差があるとは認められないから、この数値限定に臨界的意義があるということはできない。」

 

● 知財高判平18・10・25 平成17年(行ケ)10706
「 フィルムの用途や特性等に基づき、防錆実験を行って、品質上許容し得ないピンホールの直径の下限を見い出したとしても、それは当業者が適宜なし得る事項の範囲内にすぎず、直径0.1mmφというピンホール孔径が臨界的意義を有するとは認められない。」

 

● 知財高判平18・11・7 平成17年(行ケ)10758
「 洗浄用パッドに具体的にどの程度の吸水性、保水性をもたせるかは、予定される使用状況等に応じて当業者が適宜設計上定めることのできる程度の事項というべきであるから、本願補正発明において吸収力、絞り出し値を規定した点に進歩性を見出すためには、その数値限定に、当業者の予測し得ない臨界的意義が存在することを要するというべきである。・・・本願補正発明における数値限定は、予定される使用状況に応じて、設計的に定められた条件にとどまるものといわざるを得ないのであって、この点に臨界的意義を有するものとは、到底いえない。」

 

● 知財高判平18・11・22 平成18年(行ケ)10111
「 本件明細書には、ポリベンゾイミダゾール材料のアルカリ金属及びアルカリ土類金属を除く金属の総濃度を10ppm以下にすることの技術的な意義については、「ポリベンゾイミダゾール材料に含まれるアルカリ金属及びアルカリ土類金属を除く金属の総濃度を10ppm以下とすれば、アルカリ金属及びアルカリ土類金属以外の金属の影響を受けやすい半導体、表示素子の製造部品として工業上使用しうることを見い出した。」(段落【0006】)との説明しかなく、ましてや、この「10ppm」という数値に臨界的な意義がある旨の記載はない。」

 

● 知財高判平19・2・8 平成18年(行ケ)10112
「 本願補正発明の数値限定である「150-179 °」には臨界的意義がないことも明らかであり、特に、「180 °」の場合と「179 °」の場合とで、効果上格別の差異が生じないことは明らかである。」

 

● 知財高判平19・2・15 平成17年(行ケ)10577
「 実施例1~6は、黒色顔料の日射反射率を10.8%とするものであり、参考例9は、日射反射率を3.4%とするものであるが、その結果からは黒色顔料の日射反射率を高くする方が望ましいということはできるとしても、8.0%という日射反射率に臨界的意義があると認めることはできない。」

 

● 知財高判平19・2・27 平成18年(行ケ)10386
「 本願補正発明の混合割合に臨界的な意義があるというためには、数値の前後で顕著な差異があることが必要である。しかし、本件補正後の明細書(甲1)には、そのような顕著な差異があることを示す記載はない。」

 

● 知財高判平19・3・30 平成18年(行ケ)10234
「 本件明細書(甲10の1)の【表1】等(段落【0020】~【0025】)によれば、本件補正発明の実施例において、ヤング率の下限値は130GPaであり、下限値の直上の数値は、135GPa、141Pa、142GPaと、数GPa間隔であるのに対し、比較例のヤング率は、唯一90GPaと、実施例の下限値より40GPaも離れた数値であるから、比較例の数値が上記下限値の近傍値とは認められず、ヤング率の下限値を130GPaとした臨界的意義は見い出すことはできない。

 

● 知財高判平19・10・17 平成18年(行ケ)10182
「 本願発明1において、冷凍保存中にはマグロ肉の褐変を抑制し、保存期間終了後、すなわち解凍後は褐変抑制効果が消費者に鮮度を見誤らせることのない程度の期間で消失するという課題を解決するために、マグロ肉中の残留CO濃度を好適化する過程で結果的に見出される程度のことにすぎず、これをもって格別顕著な効果であるとはいえない以上、原告の主張するデータの有無が、審決の違法性の有無に影響を与えることはない。のみならず、本件全証拠によっても、本願明細書には、本願発明1で特定された残留CO濃度の値及び冷凍保存温度について臨界的意義に関する記載や上記効果の顕著性を示す具体的データが記載されているとはいえない。」

 

● 知財高判平20・1・30 平成19年(行ケ)10256
「 本件明細書(全文訂正明細書)には、実施例及び対照例において収縮率(幅減少率)が46%、50%、53%、70%の例が挙げられているものの(段落【0013】~【0018】)、40%未満の例は挙げられておらず、その他本件明細書において40%~60%の収縮率という数値限定の臨界的意義を明らかにする記載や、同数値限定外の収縮率を採用する場合の阻害事由に関する記載は見当たらず、他に上記臨界的意義や阻害事由を認めるに足りる証拠もない。」

 

● 知財高判平20・3・26 平成19年(行ケ)10298
「 本願発明は、d=(0.4~0.8)Wの関係を持たせた上、固定鉄心及び可動鉄心の断面における長軸または長辺の長さaと短軸または短辺の長さbとの比率を、1.3≦a/b≦3.0とすることで巻線の幅(W-b)が増加することになり固定鉄心及び可動鉄心の断面における長軸または長辺の長さaと短軸または短辺の長さbとの比率a/b=1のものよりも吸引力が大きくなることに着目したものである。したがって、本願発明は、長円にした際に、単に吸引力を発揮することを目的としたものではなく、コイルの巻外径Wが一定であることを前提として、かつ同じ鉄心断面積であっても円よりも吸引力が大きくなるようにしたものであり、単に鉄心の断面形状を円から長円にしたものではなく、また①d=(0.4~0.8)Wとの点、②1.3≦a/b≦3.0との点のいずれの数値限定についても、既に検討したとおりそれなりの技術的意義を有するものであるから、単に臨界的意義を見出すことができないとのみすることは妥当ではない。」

 

● 知財高判平20・10・30 平成20年(行ケ)10017
「「現代材料力学」・・・によれば、材料力学上のはりの曲げ剛性は、断面円形のテーパ状のはりの場合、テーパ部分の長さに応じて連続的に変化する断面直径に応じて変化することが認められるから、歯ブラシ毛の柔軟性は、テーパリングされた長さに応じて連続的に変化するとみるのが自然であって、このことは、「2.8mm~3.0mm未満」という数値範囲に臨界的意義があると認められないとの審決の認定を導く根拠となり得るものである。」

 

● 知財高判平20・11・13 平成20年(行ケ)10112
「 一般に、殺菌剤の濃度、温度、流量、時間の各数量が大きくなるほど殺菌効果が高まることは、当業者にとって自明の事項であって、この相対関係による傾向は、上記表1~4に示された連続的変化とも合致する。そうすると、本件発明の数値範囲の内と外における差異は顕著なものではなく、臨界的意義があるとは認められない。

 

● 知財高判平20・11・20 平成19年(行ケ)10332
「 7つの実施例と5つの比較例から望ましいと考えられる数値を設定したものであって、臨界的な意義のある数値というわけではない。」

 

● 知財高判平21・2・4 平成20年(行ケ)10154
「 実験的に数値範囲を最適化又は好適化することは、当業者の通常の創作能力の発揮すぎず、それゆえ、この点に進歩性を肯定するには、臨界的意義が必要とされるものである。そして、本件明細書(甲28)には、具体的従来技術と比較してどの程度有利な効果を奏するか、一切開示が存在しないのであるから、本件数値限定に臨界的意義が認められない」

 

● 知財高判平21・9・17 平成20年(行ケ)10490
「 本件明細書には、本件発明1における数値範囲の臨界的意義についての具体的な記載はされておらず、また、塩素原子含有量は、上限値である10ppm以下だけが記載され、下限値が特定されていないものであって、これらによれば、本件発明1における塩素原子含有量の数値限定の意義は、塩素原子がポリカーボネート樹脂中に少なければ少ないほど、塩素原子の影響による半導体ウエーハの汚染を低減でき、本件発明1の目的達成に適しているというものにすぎないといわざるを得ない。」

 

● 知財高判平21・9・28 平成20年(行ケ)10484
「 確かに、数値限定に臨界的な意義がある発明など、数値範囲に特徴がある発明であれば、その数値に臨界的な意義があることを示す具体的な測定結果がなければ、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できない場合があり得る。

 

● 知財高判平21・10・28 平成20年(行ケ)10489
「 本件特許発明1において、X線管からの距離「1m未満」は、工業的用途から実用的な長さである「10~20cm程度」を含む長さとして設定したものであり、「1m未満」という数値に臨界的な意義(数値の内と外で量的に顕著な差があること)は認められない。」

 

● 知財高判平22・3・24 平成21年(行ケ)10123
「 甲7の実験成績証明書(以下「甲7証明書」という。)中、騒音試験に係る図4’にも、β-αが1の場合に良好な結果を示し、かえって、β-αが0.75を下回ると、発生騒音が大きくなるとの結果が示されているのであるから、β-αの上限値を0.75とすることに臨界的意義があるということはできない。」

 

● 知財高判平22・5・26 平成21年(行ケ)10319
「 本願明細書においては、本件相違点に係る本願発明の「圧縮ガスの圧力が9乃至11バール」とする数値範囲の臨界的意義は全く記載されていない。そうすると、本願発明の数値範囲は、その範囲内で特に有利な効果を有するものとして規定されたものであるとまで認めることはできず、圧縮ガスの圧力を適宜決めた以上のものと認めることはできない」

 

● 知財高判平22・6・23 平成21年(行ケ)10312
「 本件発明1における開口部の総面積及びガス発生器の作動時の最大内圧についてみると、本件明細書において、・・・とされるのみであって、格別臨界的な意義のある数値ではない。」

 

● 知財高判平22・9・28 平成21年(行ケ)10415
「 本願明細書(甲21)の段落【0015】には、バンプ電極用のメタルマスクの厚さとして、20~80μmが好ましいことが記載されているものの、本願明細書には、厚さを「20μm~80μm」とすることが、それ以外の厚さとすることと比較して、異質な効果や顕著な効果を奏することを示す記載や示唆もないから、「20μm」、「80μm」という値自体に臨界的意義を見出すことはできない。

 

● 知財高判平22・11・1 平成22年(行ケ)10035
「 本願明細書中には甘味剤(甘味料)の添加量を「0.005~3%(w/v)」と特定した根拠につき、活性物質であるガランタミンないしその酸添加塩類の不快な味を完全にマスクするのに十分である旨の記載が存するのみであって(最も好ましい添加量は0.05%(w/v)であるとされている。段落【0012】)、それ以上に上記添加量の数値範囲に臨界的意義があることを示す記載は存しない。」

 

● 知財高判平22・12・22 平成22年(行ケ)10167
「 本件明細書には、炭素数が6ないし18であるフェノール化合物の合計含有量の上限値である100ppm並びにナトリウム、カリウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、ニッケル及び鉄原子の合計含有量の上限値である0.7ppmが記載されてはいるものの、各下限値が記載されておらず、また、ナトリウムの含有量が0.2ppm未満であることの意義についての記載はなく、本件発明1の数値範囲の特定には、臨界的意義を認めることはできないものである。」

 

● 知財高判平23・2・10 平成22年(行ケ)10212
「 本件補正明細書には、エレベータの吊下げ比に関する規定はなく、また、巻上ロープの直径を2.5ないし5mm や5ないし8mm にすることについては、好ましいなどとされているだけであって、臨界的意義をもって記載されているものでもない。」

 

● 知財高判平23・3・23 平成22年(行ケ)10234
「 訂正後発明1において上限値として臨界的意義を有しているのはナフタレンスルホン酸基の分解温度(850℃以上)以下で加熱することであって、もともと上限値を「500℃以下」と設定した点については臨界的意義はもちろんのこと何らの技術的意義も存しない」

 

● 知財高判平23・5・10 平成22年(行ケ)10310
「 本願発明におけるITOの表面rms粗さが「3.6nmを超えない」という数値限定については、本願明細書の記載を総合しても、3.6nmを超える数値と対比して格別の作用効果を奏するものとは認められないから、その臨界的意義を見い出すことはできない。」

 

● 知財高判平23・5・11 平成22年(行ケ)10269
「 本願発明における「0.1~10重量%」の数値限定の上限値の「10重量%」について臨界的意義があるとは認められず、この上限値は設計的事項にすぎないというべき」

 

● 知財高判平23・8・31 平成22年(行ケ)10353
「 互いに接する面の具体的な材質等が特定されていない状態で表面粗さだけの数値範囲をいくら厳密に規定しても、そのような数値範囲の限定に臨界的意義を認めることができない」

 

● 知財高判平24・1・16 平成23年(行ケ)10109
「 発明の詳細な説明には、・・・巻き上げロープの直径を8mm とすることとトラクションシーブの直径を250mm とすることを関連づける記載はなく、当然ながら巻上ロープの直径である「8mm」という数値及びトラクションシーブの直径である「250mm」という数値の前後で顕著な差異がある臨界値であることも、発明の詳細な説明の記載から読み取ることはできない。してみると、本願発明において、巻上ロープの直径を「8mm」という数値及びトラクションシーブの直径を「250mm」という数値とすることに臨界的意義はない。」

 

● 知財高判平24・1・30 平成23年(行ケ)10158
「 本件発明1におけるD1/D2比の上限である1.49という数値は、本件訂正明細書(甲25)の段落【0028】ないし【0034】の記載に照らせば、転がり軸受装置の大型化、重量化、製造コストの不相当な上昇を抑制するために原告が適宜設定した、好適なものにすぎず、格別臨界的意義がない。」

 

● 知財高判平24・12・10 平成24年(行ケ)10164
「 本件明細書(甲14)には、本件発明1に含まれる実施例1~8と、サイドバイサイド型中空繊維を用いていない比較例1が記載され、いずれの例においても全体厚みは15mmであるが、膜状層の厚みについては記載されていないので、膜状層の厚みと熱伝導率との関係について具体的に評価することはできない。よって、審決が、本件発明1の「1mm未満の厚さで膜状化している」という数値限定の上限値に臨界的意義を認めることができないと判断したことに誤りはない。」

 

● 知財高判平25・1・30 平成24年(行ケ)10147
「【請求項16】には、D/dの上限を画する数値として、30(又はその前後の数値)から大きく離れた40という数値が採用されている。このことは、原告の主張とは反対に、D/d=30という数値が臨界的意義を有するものではないことを示唆するものといえる。」

 

● 知財高判平25・2・21 平成24年(行ケ)10225
「 シュクラロースの添加量がその飲料に求められる甘味度、カロリー等により任意に調整されるとの記載があることから、本件発明2のシュクラロースの添加量の特定には、特段の臨界的意義が認められない。」

 

● 知財高判平25・3・19 平成24年(行ケ)10265
「 本願明細書(甲2)の発明の詳細な説明に「不純物拡散防止層は、Mgが1×1017cm-3程度以上1×1019cm-3程度以下ドープされていても良い。」(段落【0027】)との記載があるのみで、本願明細書中の他の部分には上記特定事項に係る作用効果に関する記載はない。上記段落の記載の体裁に照らせば、1×1017cm-3ないし1×1019cm-3というMg含有濃度の数値範囲は、原告が適宜選択したものにすぎず、臨界的意義を有しない」

 

● 知財高判平25・5・23 平成24年(行ケ)10243
「 本願明細書には、実施例において、圧縮応力を有する少なくとも1つの応力調整層を形成することにより、配線構造を構成する低k誘電層により生じる引張り応力は調整され、低k誘電体を利用する場合、配線構造の信頼性を向上しつつ、ダマシン構造に発生するような問題を防止することができるとの作用効果は記載されているものの、応力調整層の組成比について、「a=0.8~1.2、b=0.8~1.2」との数値限定を設定することの根拠については何ら記載されておらず、その臨界的意義を認めることはできない。」

 

● 知財高判平25・6・27 平成24年(行ケ)10385
「 当該記載は、0.05%のCPCを含有する口内すすぎ剤処方を前提とする場合に生物学的利用可能なCPCの濃度を少なくとも約324ppm供給するために必要とされるというものにすぎず、生物学的利用能の下限の数値を「65%」とすることに特に臨界的意義はなく、第四級アンモニウム抗菌剤の抗菌活性を実質的に損なわない程度のものを記載したにすぎないものと認められる。」

 

● 知財高判平26・1・30 平成25年(行ケ)10111
「 本願明細書には、上記パラメーターの臨界的意義に関して、何らの説明がないことに照らすならば、上記パラメーターにつき、おむつから便や尿等が漏れないようにする等のために、前側縁部変位Aや後側縁部変位Cはなるべく0mmに近づける方が望ましい点は理解できるが、当業者が適宜選択し得る事項を超えるその他の技術的意義があると理解することはできない。」

 

● 知財高判平26・1・30 平成25年(行ケ)10054
「 本願明細書には、パッドの溝の幅を広くすることによる効果として廃棄材料の排出性、溝のピッチを大きくしすぎないことの効果として基板の表面全体へのスラリの分配性、溝のピッチを適切な値とすることの効果としてパッドの堅固性(平面的効果の防止性)が挙げられており、これらの観点から、溝の幅及びピッチとして適切な数値が設定されたものと解されるものの、本願明細書からは、溝の幅を「約0.02インチ」、ピッチを「約0.12インチ」とすることの臨界的意義は認められない。」

 

● 知財高判平26・4・23 平成25年(行ケ)10247
「 本願明細書には、「テープ材」の総厚みを200~600μmの数値範囲とする本願発明の電解コンデンサとその総厚みを上記数値範囲外とする電解コンデンサとを対比した評価結果の記載はない。したがって、本願発明の特許請求の範囲及び本願明細書の記載から、本願発明の「テープ材」の総厚みの数値範囲を200~600μmとすることに臨界的意義があるものと認めることはできない。」

 

● 知財高判平26・4・23 平成25年(行ケ)10235
「「前記コーティング層15は、フッ素樹脂粒子が30~35容量%であると好ましく、耐久性と剥離性の調和がとれる。更に、前記コーティング層15の厚さが1~30μm程度であることにより密着性と剥離性の調和をとることができる。」(段落【0015】)等といった記載は、結局、単に請求項1に記載された数値範囲であると上記【0015】等記載のような効果があると定性的に述べているだけであって、本願明細書には、補正発明が当該数値範囲を選択した理由や、当該数値範囲の場合に当該数値範囲外のものと比較して顕著な作用効果を奏すると認められるに十分な実験結果等が記載されているわけではないから、当該数値範囲の数値に臨界的意義があると認めることはできない。

 

● 知財高判平26・5・28 平成25年(行ケ)10270
「 本願明細書には、「3cm幅の短冊状テストピースに50Nの荷重を負荷したときの伸び率がベルト長さ方向について100~500%で且つベルト幅方向について150~500%」としたリブ側ニット補強布と上記数値範囲外のリブ側ニット補強布とを対比した試験評価結果の記載はなく、本願明細書の記載から本願発明の伸び率を上記数値範囲とすることに臨界的意義があるものと認めることはできない」

 

● 知財高判平26・7・23 平成25年(行ケ)10279
「 下限値を5°とする数値範囲を選択した数値的な根拠や当該数値範囲外の場合と比較して、当該数値範囲内の場合に顕著な作用効果を奏すると認められるに十分な実験結果等が記載されているわけではないから、本願発明において、上記数値範囲が臨界的意義を有する数値であると認めることはできない。